他院豊胸術後、慢性拡張性血腫
2013-07-23 08:40:57
豊胸術は現在は、アナトミカルタイプのシリコンバッグによるものが
主流です。
本日は、珍しい症例をお見せします。
数年前、他院で豊胸術を行い順調な経過でトラブルはなかったとの
事です。
一ヶ月前より左側のみ突然腫れだしたので、そのクリニックに
駆け込んだのですが、「圧迫すれば治る??」と言われ
相手にされなかたので、当院を受診されました。
診察して、血が溜まっていると判断し針で穿刺して吸引しました。
勿論、シリコンバックを破損しないように細心の注意を払います。
↓左側のみ腫れて大きくなっています。
↓100cc以上の血の塊(血腫・凝固といいます)が吸引できました。
いったんは、これで治まりましたが一週間してすでにまた腫れてきて
しまいましたので、結局は両側とも抜去して出血は治まりました。
↓取り出したバッグは珍しくラウンド型でした。
このように術後は、全くトラブルなく順調な経過で終診としたのですが、
数ヶ月~数年して(何で今さら??という時期に)突然腫れて
来てしまうのをchronic expanding hematoma (CEH)と言います。
日本語に約すと、慢性拡張性(拡大性)血腫となります。
このような状態は極めてマレなのですが、全ての外科的手術後に
起こり得るもので、珍しいものは学会で発表されたりします。
原因は諸説ありますが、はっきりした原因はわかりません。
この症例もシリコンバッグ抜去と血腫(血の塊)を除去しただけで
特に止血はしていない(明らかな出血源があるわけではないので止めようがない)
のに、抜去したら再発がなくなります。これがCHEの特徴なのです。
不思議なものです。